介護・IT業界情報

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かながわ福祉サービス振興会/ロボシンポレポート@
介護ロボットの導入効果を語る

かながわ福祉サービス振興会が事例発表シンポジウム

社団法人かながわ福祉サービス振興会(横浜市、中区)は2012年2月2日、かながわ県民センターホールで「介護ロボット普及モデル事業 事例発表シンポジウム」を開催した。普及モデル事業の説明や介護ロボットの実演のあと開かれたパネルディスカッションでは、介護ロボットを試験導入した4施設が導入経緯や効果を発表。課題や問題点はあるものの、介護ロボットが介護サービスに有効であることを明らかにした。


シンポジウムには介護施設関係者約130人が参加した

全国の自治体に先駆けて介護ロボットに取り組む神奈川県

  神奈川県は全国の自治体に先駆け、2010年度(平成22年度)から「介護ロボット普及モデル事業」に取り組んでいる。
 取り組みの柱は二つ。一つは介護ロボットを県内施設に試験導入し評価するための「介護ロボットの試験導入」。この取り組みでは、介護者・被介護者のロボット使用の主観や有効性、介護業務の負担軽減などの評価を行なう。

 平成22年度は4機種、平成23年度は7機種の試験導入を実施しており、これに加えて@介護施設関係者を対象に、介護ロボットの導入をスムーズに進めるための手引きとなるガイドラインの作成、Aロボットを扱える人材の育成を目的に、ロボットのユーザー同士がお互いに学びあう場(カンファレンス)の提供など、教育・研修の仕組みづくりに向けた活動、を行なっている。

 もう一つの取り組みは「介護ロボットに関するマーケットリサーチ」。平成22年度事業では、介護スタッフのロボットに対する意識調査を行なうために、アンケート調査を実施。回答施設の中からヒアリング調査もしている。
 この結果から、かながわ福祉サービス振興会では介護ロボットに関する基本的な情報(導入メリットなど)がまだ認知されていないこと、認知度を高めるためにはロボットの普及推進を支援する施設が必要であると判断。平静23年度事業では介護ロボットに興味を持っていると思われる施設の経営者層を対象にしたヒアリングを通じて、介護ロボット普及活動の支援拠点になりうるかどうかを調査。介護ロボット導入に向けたガイドラインに反映させるなどの取り組みを行なっている。

全国の自治体に先駆けて介護ロボットに取り組む神奈川県

 パネルディスカッションは横浜国立大学大学院工学研究院教授の高田 一氏をコーディネーターに、CYBERDYNE社の「ロボットスーツHAL」を導入した介護老人保健施設 老健リハビリよこはま リハビリ部長の舘 正成氏、知能システムのメンタルコミットロボット「パロ」を導入した特別養護老人ホーム ゆとりあ 言語聴覚士の小菅直子氏、パラマウントベッドの「眠りSCAN」を導入した特別擁護老人ホーム 横浜敬寿園 副施設長の渡邉正文氏、ユニ・チャーム ヒューマンケアの尿吸引ロボ「ヒューマニー」を導入した川崎ナーシングヴィラ 春の風 施設長の鷲谷 真氏をパネリストとして開催した。


コーディネーターの高田教授


左から老健リハビリよこはまの舘 正成、ゆとりあの小菅直子、横浜敬寿薗の渡邉正文、川崎ナーシングヴィラ春の風の鷲谷 真の各氏

 パネリストの四氏は、介護ロボット導入に取り組んだいきさつや導入効果、課題や問題点を明らかにした。発表の概要は以下のとおり。