介護用ITソリューション情報

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介護施設入居者の徘徊検知に効果抜群

「見守り介護支援パッケージ」――ソーバル

ICタグを貼り付けたシューズやスリッパを履くだけで入居者の徘徊を検知できる、ソーバル(本社東京大田区、推津順一社長)の「見守り介護支援パッケージ」が注目を集めている。導入しているグループホームなどからは「入居者の行動がリアルタイムに分かり、行動履歴データから深夜の巡回パターンを変えることもできるので効果的」と評価は高い。パソコンを操作しなくても利用できる簡易版もあり、今後利用者は増えそうだ。
入居者にストレスを感じさせないシステム

 ソーバルの「見守り介護支援パッケージ」は、ICタグを貼り付けたシューズやスリッパを履いてもらうだけで、介護施設などの入居者の行動を見守り、その行動パターンを分析することによって、介護サービスの質を高めることができるシステム。

 居室や居間、食堂などの床面にシート状(ビニール)のアンテナを張っておくことで、その上を通過するとICタグを検知して、いつ、誰が、どこを通過したかが分かる仕組みである。


ICタグ付きのシューズやスリッパを
履いてもらうだけで入居者の行動パターンを
知ることができる

 「この仕組みで何ができるかというと、一つはリアルタイムに、今、誰が、どこを通ったかが分かるので、徘徊をしている人に声をかけたり、呼び止めたりしてケアすることができる。もう一つは、通過の履歴を残しておき、それを分析することで、その人の動きを把握し、見守っているつもりでも深夜などに見ることができなかった行動パターンを知り、介護スタッフの深夜の巡回パターンを変更したりできます。その人がなぜ徘徊するのか、運動量の違いなどから普段のトイレの回数との違いなどを分析して、状況把握に繋げることができるわけです」(ソーバル 営業部主任の島 宇貴由氏)。


今、誰が、どこを通ったのかリアルタイムで分かる


通過履歴を分析することで、徘徊のリズムや
運動量を分析し、より適切なケアができる

 この「見守り介護支援パッケージ」は、文部科学省が産学協同研究として取り組んでいる知的クラスター創成事業の見守り介護支援研究(アウェアホーム実現のためのアウェア技術開発研究)から生まれたもの。

 具体的には石川県の北陸先端科学技術大学院大学などが研究を進め、その中でRFID(無線ICタグ)の技術を使って、より目立たない、薄いものへのニーズが高まっていった。そこで研究チームは、シューズやスリッパにICタグを付け、薄いアンテナを床に敷くことを考えついた。この仕組みを実現するため、ソーバルにハードウェア面での技術協力を要請した。

 「元々はハードウェア分野での技術協力でスタートしたのですが、当社はソフトウェアの開発も手がけているのでソフト分野でも協力しました。知的クラスター創成事業は実験を商用ベースに移行させるのが課題。その商用化に関しても協力したわけです」(島氏)

 ICタグは、それ自体が電源を持つアクティブ型と、自らは電源を持たずリーダー/ライターのアンテナが放つ電波を利用するパッシブ型がある。

 当初はアクティブ型を使って研究が進められていたが、電源を持っているだけに装置が大きくなり、首元にぶら下げるお守りタイプや腕時計などに装着する必要があった。それだと利用者(介護施設などの入居者)が違和感を覚えて外してしまう可能性が高い。

 そこで、利用者がストレスを感じない、あるいは利用していることに気づかない形で徘徊の見守りができるシステムを作りたいと考え、パッシブ型のICタグを採用した。