介護・IT業界情報

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業務支援、情報共有などがより必要に(1)

アンケートにみるケアITの現状と課題

介護の負荷を軽減し、介護事業の経営の効率化を図りながらサービスの質を高めるためには、IT(情報技術)の活用が不可欠だ。介護サービス向けIT=ケアITの現状と今後の動向を探るべく、本サイトでは介護ソリューションベンダー=ケアITベンダーにアンケート調査を行なった。その結果、ケアITは機能を充実しつつあるものの、介護サービス業務そのものの支援やシステム連携、情報共有、ハードウェアとの連携、外国人介護スタッフへの対応などの強化が必要――といった課題が浮かび上がった。

【調査概要】
2009年7〜8月、ケアITベンダー40社にアンケート用紙を郵送して実施。14社から回答を得た(回答率35%)。調査項目は25項目。主たる項目は以下のとおり。介護ソリューションのタイプ、提供開始時期、提供方法、価格、バージョンアップ間隔、システム形態、システムのタイプ、機能、システム連携、情報共有、医療連携、ハード連携、外国人介護職へのシステム面での対応、メンテナンス料金、重視する性能等。

現状のケアITの大半は「マネジメント系」

 介護システム(以下、ケアIT)は介護保険請求業務や介護計画書作成に代表されるような「マネジメント系システム」と、介護福祉用具と連動したような「介護サービス支援系システム」に大別できる。
 アンケート結果では8割以上が「マネジメント系」で、「サービス支援系」もカバーしているのは2割弱にとどまった。介護職の負荷を軽減させるには、サービス支援系のケアITの増加が求められよう。(グラフ1)

 では、そもそもケアITをいつ頃から提供開始しているのか。もっとも多かったのは介護保険制度がスタートした2000年から2002年。次いで、介護保険制度のスタートに先立って提供しているケースで、以下、1次改定、2次改定の順。ケアITは制度ととにあるとも言われるが、その一端がうかがえる。(グラフ2)

ケアITの主たる提供方法は7割が直接販売、3割が代理店販売。直販の中には、パッケージ販売とともにASPによる提供も含まれる(後述)。(グラフ3)

ケアITの価格については10万円以下、10〜50万円、50〜100万円、100万円以上という設定で聞いた。結果、10〜50万円の価格帯と、50〜100万円の価格帯が半々だった(2社は回答なし)。

価格に関しては、ケアITが普及するにしたがってユーザーの目が肥え、コストパフォーマンスに対する見方もシビアになってきているとするベンダーもある。この傾向は今後さらに強まることも予想される。(グラフ4)

 参考までにケアITをリース/レンタル月額でみると、1〜3万円の価格帯が6割近くを占める。次いで3〜5万円、1万円以下の順となっている。(グラフ5)