介護・IT業界情報

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デジタル化を促進させる「ケアIT」を多数展示(2)

手書きからデジタル化への最新ケアIT

 ケアIT(介護システム/機器)関連では、現場の手書き作業のデジタル化を促進するシステムや、個別システムの情報連携、新介護保険制度への対応を図ったシステム、障害者向けシステム、介助ロボットなどが目立った。その中から主だったものを紹介しよう。

ケアIT(介護関連システム)の出展は回を重ねるごとに充実。来場者の注目を集めた。
ケアIT(介護関連システム)の出展は回を重ねるごとに充実。来場者の注目を集めた。

新機能を搭載した車椅子も多数出展
新機能を搭載した車椅子も多数出展

 アビ・グローバルは利用者総合支援システム「飛翔」、社会福祉法人会計システム「STEP」、栄養士向け栄養管理ソフト「Kids'カロリー」などを出展。このうち「飛翔」は「介護福祉の現場の声を具現化した」(関東営業所長の上村誠氏)ソフトで、経営者から現場職員まで幅広く活用できるのが特徴。居宅利用者から入所利用者までの情報を一元管理する。事故報告書などに画像データを保存することによってヒヤリハット、危険防止にも役立つ。

 NDソフトウェアの福祉サービス事業支援ソフト「ほのぼの」シリーズは「2009年3月末現在、1万800件の納入実績を持つ」(営業担当の近藤正樹氏)。介護保険対応版「ほのぼのSilver」、全国2,000の障害者施設に実績を持つ「障害者自立支援法対応システム」などを展示した。

 ケアコムのケア履歴管理システム「CiCSS−R5」(2009年9月30日発売)はマットセンサーと連携し、ナースコールシステムの親機側でどの利用者が使っているかが分かり、管理しやすい。またナースコールでは利用者の履歴が掴めなかったが、オプションの「ケア履歴管理ソフト」を活用することによって実現する。「履歴が残るので、個々の利用者のナースコールの利用時間帯や回数が把握できる」(企画部企画グループ主任の山町匡央氏)ので、それに応じたスタッフ配置も可能になる。

PDA活用システムが評判

 「PDAの評判がいい」と語るのはサンケアタカサのシステム東京支社システム開発担当・木下隆史氏。例えば入所系のソフトで、バイタルデータなどをPDA( iPAQ )で受け、リアルタイムでパソコンサーバーに送り、パソコンサーバーでも管理できる。

PDAを活用したシステムが人気(サンケアタカサ)
PDAを活用したシステムが人気(サンケアタカサ)

 同社は早くからPDAを採用しているが、それほどの人気ではなかった。それが最近はPDA人気が復活した。「理由として考えられるのは、パソコンだと投資もかかるため、台数もそれほど揃えられない。また介護業務が終わってからパソコンに入力しなければならないため、どうしても残業が増える。それに対して PDAは持ち歩きながら処理できるし、価格的にも安くなってきていることも要因」(木下氏)。同社は親会社のタカサ(千葉県)が薬局を経営している関係もあり、薬局用(居宅療養管理指導ソフト「薬(やく)だてさん」(基本機能でソフト価格は4万8,000円)などにも力を入れており、「今年末くらいからネットワークを組み、薬局間のデータ連携を始める」(同)計画だ。

 システム・インスツルメンツは東京都の老人総合研究所と共同開発した「介護予防自動筋力トレーニングシステム」などを展示。特徴は老研の CGT(Comprehensive Geriatric Training)を採用したこと。従来、トレーニングは手書きで管理していたが資料が活かされていなかった。それを個人情報でデータベース化することによって、トレーニングをするたびに瞬時に記録し、過去と現在の比較なども可能になった。重りを 500グラム単位で自動的に変えることが可能で、LANでもネットする。

 従来、自動化しているトレーニングシステムは全て油圧やサーボモーター利用であり、施設ごとにダイヤル1〜6の強さといった測り方をしているので定量性がなかった。「重りの利用は定量性があり、他ではない自動化システム。データベース化しているので予測も可能であり、トレーナーも少なくて済む」と取締役技術部長の濱田和幸氏は語る。2010年4月から納入開始予定。価格は装置4台・パソコン・ソフト込みで600万円、リース月額11万円。1日30人利用で、一人当たり週に2回で計算すると、利用者負担は一人290円程度で可能という。

 ジャニスは「響(ひびき)シリーズ」を出展。同シリーズは訪問介護・自立支援システム、居宅支援システム、通所介護システム、訪問看護システム、看護婦・家政婦(夫)紹介所システムなどで構成。全国300市町村以上の帳票や請求方式に対応しているのが特徴。

 セントワークスは売上・入金・債権管理機能付き介護保険ソフト「Suisui&業務支援サービス」、介護保険と医療保険の請求業務に対応した訪問看護請求ソフト「Suisui Remon」などを中心に展示した。

 日本コンピュータコンサルタントは訪問介護サービス、通所系サービス、居宅支援サービスなどの機能から構成する「介舟ファミリー」を展示。「導入実績は全国約850個所、1,800のサービス業務」(ビジネスプロモーションプロジェクトシニアマネージャの堀達郎氏)。同社は介護従事者(ケアマネージャー)に特化した日本最大級のポータルサイト「CARE MANAGEMENT ON-LINE」も運営。日本のケアマネージャーの約38%にあたる4万 5,000人が会員登録している。