介護用ITソリューション情報

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介護施設入居者の徘徊検知に効果抜群(2)

介護の負荷を軽減し質の高いケアを可能に

 「見守り介護支援パッケージ」のシステムの概要は下図のようになっている。


「見守り介護支援パッケージ」のシステム構成

 介護事業者のスタッフルームやセンターにパソコン(PC)があれば、そこからLAN(介護施設内ネットワーク)を引き、リーダー(ICタグ情報の読み取り機)をネットワークで結ぶだけで運用することができる。

 すでに紹介したように、利用者(入居者)にはICタグ付きシューズを履いて貰えればよく、ICタグからマット型アンテナを介してリーダーが情報を読み取ってくれる(アンテナケーブルは3m)。アンテナは約20センチ範囲内のICタグ情報をキャッチするので、各居室や出入り口にマット型アンテナを設置しておけば、利用者の移動を検知できる。

 参考までに、このシステムに関連するハードウェアの仕様は以下のようだ。

ハードウェア仕様
周波数:13.56MHz(HF帯)
シューズ検知距離:約20cm
リーダ:ライタ外形:75×170×32.6(幅×奥行×高さ)mm
重量:330g
アンテナケーブル長:3m
インターフェース:Ethernet(10 / 100 BASE-T)
対応OS:WindowsXP、Windows Vista
電源:DC5.0V (ACアダプタ)
消費電力:発振時:4.0W以下、非発振時:1.8W以下
環境条件:0℃ 〜 40℃(ただし結露無きこと)
アンテナ外形寸法:300×650mm / 300×900mm / 300×1200mm

 「見守り介護支援パッケージ」は2009年末から発売を開始している。このシステムを逸早く導入したグループホーム(1ユニット9人×2ユニット)では「入居者の移動情報がリアルタイムに分かるようになった」と、以下のような導入効果を挙げている。

 ――以前は何か物音がするとその都度様子を見に行っていたが、このシステムを導入して以降は、リアルタイムに通知してくれるので、通知されたときに見に行けばいいといったように巡回の回数を減らせるようになった。
 ――現時点で目に見えて成果が上がってきているとまでは言えないが、このシステムを使うことによって介護スタッフの負担が軽減することは確か。入居者によりよいサポートをするための多くの情報が得られるので、介護スタッフにもやりがいが生まれ、それが離職率の低下に繋がり、最終的には介護事業の経営にも効果が出ると期待している。

 さらに同施設では、入居者の移動履歴を見ることによって、現在の行動との比較ができることも大きいと指摘する。たとえば、この1ヵ月、ある入居者がリビングの大広間にいる時間が長くなった。なぜだろうと移動履歴を見ているうちに、そう言えば1ヵ月前にその入居者は怪我をしており、それが動きたくない理由だということに気が付いた。あるいは、人との交流が増え、そこにいることが楽しくなったのだと分かった。そういった情報の切り分けに効果的という指摘である。

パソコンを使わなくても可能な簡易版も提供

 介護事業の現場は忙しい。従って「見守り介護支援パッケージ」の効果は分かるが、パソコンを使って入居者の行動を分析している時間的余裕がないとの声も少なくない。

 そこでソーバルでは、そんな介護事業者向けに、パソコンを使わなくても済む単純な装置として「徘徊センサー」も提供している。これはICタグが付いているか付いていないかだけを見て、徘徊する人には付けてもらい、そうでない人には付けないというもの。徘徊する人が玄関やエレベーターなど、行って欲しくない場所に行った場合にのみ通知するという仕組みで、価格的にも介護スタッフ一人の1ヵ月の給与程度で済む。

 「徘徊センサー」は、ケーブルで外部接点に接続することにより、無線式警報機、ナースコールシステム、インターホンシステムに繋いで、PHSなどで介護スタッフに通知する仕組み。ただし、LANの接続口は持っているので、移動情報が欲しいと感じたときにはパソコンに接続すればネットワーク利用ができる。さらに情報分析をしたいときも、同じ機器を活用できる。

 「見守り介護支援パッケージ」に関しては現在、帳票化を充実して欲しいといった要望も来ているという。現状でもCSV形式でのデータ出力をし、自由に加工できるようにしてあるのだが、利用者の家族に通知する既存の仕組みと連携できるような機能など、他のシステムが持っているデータとの連携への要望がある。

 「そうした介護サービスのニーズを取り込みながら、将来的には介護事業者様が既に導入しているさまざまなシステムと連携し、活用できるようにしたい。そこで現在、ソフトウェアパッケージ開発会社やシステムインテグレーターとの連携を始めています。それによって基幹システムとの連携も可能になります」(島氏)

 「見守り介護支援パッケージ」のみならず、ソーバルのRFID技術は製造業の監視システムや入退室管理システムなどにも採用されている。「そういう意味では、介護分野に限らず広い意味でのパートナーシップを実現したい。RFIDは自社開発なので、ハード、ソフトに関わりなく、きめ細かなカスタマイズができる技術力とサポート力があります」と、島氏は語っている。

問い合わせ先

ソーバル株式会社 営業部
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